さるフェス2016から一週間、
あらためて、ご来場いただいた皆さま、ご出演いただいた方々ホントにありがとうございました!
フェスの後いろんな方々がブログやSNSでさるフェスを楽しかったと書いていただいてて、ホント嬉しかったです!で、この数日、なんか今更ですが、さるフェスって何だろう?とか考えちゃいました。
例えばさるフェスにはテーマがある。
今年は「おサルの産業革命」でしたが、昨年は「迷宮のシンデレラ」、その前が「今夜は宇宙旅行」。それぞれ会場である新宿ロフトを何かに見立てるわけです。前回はお城、前々回は宇宙船でした。で、今回は工場に見立てて「おサルの産業革命」。なんかこう今の時代のテクノロジーの進化とそれに翻弄される人間みたいのをテーマにしたかったんですね。
だけどそのテーマってのがザックリしてて、なんというかトータルでコントロールが及ばない、課題曲とかあるけど、まぁ大抵それぞれ自由にやるわけです。お芝居の部分なんて当日3時間のリハーサルしかない。出演者もなんとなく親しいからとか面白いからとかもういろんなジャンルから集まってくる。こうあるべきだ、みたいな完成図があってそこに向かうというより、なりゆきにまかせてどこまで行けるか?みたいな。
産業革命もなりゆきでなんとなく社会主義革命っぽくなるし、山中先生が出てくださるんなら、大日本プロレスとくっつけようとか。兼好師匠が出てくださるんなら、寄席のコーナー作ろうとか。いろんなことが全体像よりもなりゆきで決まってくる。
言ってみれば「さるフェス」は、ちゃんとした設計図に沿って建てられた高層ビルでなく、風雨に晒されてなんとなく出来あがった「奇岩」のようなものです。
そこには誰かの何かを表現しようなんて意図はない。岩をとりまく風や雨が自然に形を作っていく。さるフェスの場合だと時間が無いとか、技術がないとか、たまたま思いついたとか、そんな諸事情で思わぬところが凹んだり、へんなところが凸ったりした整理されないとっちらかった他にない奇岩を作るんだと思います。
ボクはそんな奇岩が大好きです。
なんかキレイなビルよりヘンテコな奇岩の方がスキ。そちらの方によりこの世界らしさを感じるからかなー。
だってこの世界には驚くほど様々なものがあって、赤いものも黒いものも長いものも短いものも大きなものも小さなものも偉大なものもダメなものもあるけど、全てに等しく時が流れ、生成明滅を繰り返し、絶対完成なんかできなくて完成する時は死ぬ時で、てゆーか完成図なんてなくても、過不足、矛盾、それら全てひっくるめてこの世は美しい。
人工的な上意下達の組織よりも自然に役割分担された生態系のような群れ、システィマティックなショッピングビルよりも、ゴールデン街のように思い思いに作られた場、堅牢な何かよりも一夜限りのお祭り。あれもこれもそれもどれも不必要なものなど一つもなくあらゆるものが次々に現れては一瞬の光を放ち消えてゆく。
一週間前の新宿ロフト、客席の真ん中でパスカルズの演奏が始まったかと思えば、となりのステージでは宮崎吐夢さんがラップをしている。川村亘平斎さんの影絵のおサルの呼び掛けでフロアでケチャが始まる。大日本プロレスの乱闘のあおりで、のぐおくんの粘土は壊される。隅っこの深海では朝倉世界一さんがカワイイ似顔絵を描いてる。さっきまで演奏していた知久さんが楽しそうに何十人ものカズーの演奏を見ている。その三浦カズーをよく見れば戸田誠司さんや鈴木さえこさんや名だたるミュージシャンだったりする。東大教授の山中先生の新作ロボットが段ボールのザクだったり、スイッチで転がりでた女工さんが大人気の地下アイドルだったり、一方熱唱でお客さんを感動させてるサングラスの男はいつもは大学の助手だったり、映画ライターがお気に入りの映画の宣伝のためにバンドをやってみたり、いつも仕事を手伝ってくれてる女性がバンドを率いたりカレーを売ったりしてる。玉石混交有象無象究極の寄席鍋。それはもうWEBの小さなwindowでは絶対再現することの出来ない360度のカオスです。そんな場が偶然、奇跡のように目前に立ちあがる。
で、この奇岩。奇岩が奇岩としてカタチをとどめるためには、作る側の「人を楽しませることで、自分が楽しもう」という強い気持ちが必要でこれがなかったら岩は砂になって崩れちゃう。カタチにならない。こうしたらもっと面白い、ああしたらさらに面白い、という目のキラキラした人たちの意志。そんな力と時間やコストといった風雨の均衡が奇岩となって現れる……
とにもかくにもそうやって、年に一夜だけ幻のように立ち上がる「奇岩さるフェス」。
そんなさるフェスを8年間も支えてくださっている皆さんに今一度心より感謝です!
最後に親戚がこの夜のフィナーレ用に作った「キミはカワイイ歯車」の歌詞の一部を貼っておきます。歯車というと悪いイメージですが皆とかみあって回り出せば大きな可能性があるみたいな歌詞です。全体主義っぽくならないよう気を使いましたw
では皆さん、ホントにありがとうございました!
また来年どんな奇岩が立ち上がるか楽しみにしてください!
君はカワイイ歯車♪
大きな工場の片隅
錆びた小さな歯車
じっと静かに動かない
だけどいつかかみ合えば
ボクらはきっと回り出す。
軋みながら目をさます。
ゆっくりゆっくり回り出す。
みんなみんな目をさます。
ゆっくりゆっくり目をさます。
全ての歯車が回り出す。
ゆっくりゆっくり回り出す。
ボクら みんな 回りながら、
大きなものを動かすのさ。
そうさ、大きな大きなとても大きな
大切なものを動かすのさ。
ギリギリギリギリゴゴゴゴゴゴーーーーーー♪
そうさ沢山の歯車が
グルグルグルグル ゴゴゴー
それぞれめいめいあちらこちら、
ギリギリギリギリゴゴゴー
思い思いに回り出せば
グルグルグルグル ゴゴゴー
大きな物が動き出す
(「キミはカワイイ歯車」親戚2016)