1年前、中日新聞で「紙つぶて」というコラムを半年にわたって連載しました。
ちょうどコロナが蔓延し始めた時期です。
読み返してみると1年で変わったこと変わらなかったこと、
今でもそう思う事、ちょっと違うな、と思う事、
いろいろ面白かったのでこちらで再掲させていただくことにしました。
さて1年前は何を書いてたかな?
はじめまして。しりあがり寿という漫画家です。
変な名前ですんません。
一応漫画家ですが社会に出て四十年くらい、いろんなことやってきました。
広告から始まってマンガ、エッセーみたいのを書かせてもらったり、
あと美術館で展示させてもらったり先生やったり、ホントやりすぎです。
そんな自分のやってきたことを無理やり一言でまとめれば「表現」でしょうか?
ヒョーゲン。考えや想像をとにかくいろんな形で表現してきました。
そんな自分が最近感じるのは、現代の日本は「表現のジャングル」だ、ということ。
昨年「表現の自由」が話題になりましたが、幸いこの国ではまだ表現を生み出すのは自由です(基本そのはず?)。
でも生まれた表現が十年二十年と残ってゆくことは難しい。
あるものは新しい事実に否定され、あるものは批判を受けて淘汰され、あるものは皆にウケなくて消えてゆきます。
表現は自由だけど淘汰される。
ここは表現が生まれにくい極寒の地のような場所ではありませんが、多種多様な表現が熾烈な生存競争を繰り広げている極彩色の熱帯ジャングルです。
だから楽しいんだけどね。
今回そんなジャングルの片隅でまた小さな場所をいただきました。
この文章も一週間くらいは淘汰されないで皆さんの頭に生き延びるといいな。
半年間、どうぞよろしくお願いします!
中日新聞 夕刊 2020.1.6 掲載