先週バレンタインデーなどというものがあって、
「自分は糖尿だから女の子も気を使ってチョコくれないのだろうな…」
などと負け惜しみめいたことを考えていた。
自分はどうにも昔から「恋愛」というのが苦手だ。
いきなりだがあれはいったい何だ?
異性に対して何がしかの衝動を覚えるというのは生物全般に見られる現象だが、
特定の人物に対してのみ、あのように激しくやるせない感情が発生するなんてワケが分からない。
どうせまた脳の仕業だろうけどな、脳のどこかにピンクの汁がじゅるっと染み出るに違いない。
なぜそんなものが出る?
周到な準備なんてない、いきなり偶然だ。自分の意志で相手を選べない。
こっちにはこっちの予定があるのにいきなりその人中心に世界が回り始める。
他の大切なことが全部上の空だ。
いったいどうしてくれるんだ!!
…でもなー、そこがいいのかなー。誰もが予定通りに物事が進むことを望み、想定外のことに神経をとがらす毎日。
そんな中でいきなりじゅるっと予定にない恋愛が訪れ、
じゅるっと想像以上の感情の嵐、じゅるっと想定外の世界に連れ去られてしまう。
いやまぁいいことばかりじゃないけどさ。あー、誰か人工ピンクの汁を開発しないかな?
完成したらボクは毎朝一杯それを飲んででかけよう。てゆーかバレンタインにそれをください(笑)。
中日新聞 夕刊 2020.2.17 掲載