アイススケートの季節だ。
テレビをつけると選手がまぁ気持ちよさそうに滑ってる。
なめらかな滑りはキモチいい。
そう、摩擦を感じないってキモチがいい。
なんつったってボクは摩擦が苦手だ。
皆に意見の食い違いがなくニコニコ、ツルツルと物事が進んでいかないとストレスになる。
だけど最近、自分みたいな人間が多いせいか必要な摩擦まで避けられているような気がしてならないんだよなー。
空気を読んだり気配りしたり忖度したり、摩擦を避ける技術ばかりが発達して本来必要な摩擦までが避けられてないだろうか?
物事を動かそうとすると必ず摩擦が起こる。なのにそれを嫌ってはなから物事を動かそうとしない。
何かを動かすためには諍いや口喧嘩、なんだったら取っ組み合いのケンカくらいの摩擦は平気にならないといけないのかもしれない。だってさ、
この変化の時代に動かないってのは、どこかにたわみがたまっていつか大地震がおこるってことかもよ。
ツルツルはダメ、カモンザラザラ!
でもってさらに怖いのは何かの拍子で動きだしてから。
摩擦がなけりゃ、ツルツル滑る石鹸のように止まらない。
ヘタしたら闇の中にまっさかさまだ。
スケートはないけど夏のオリンピック、どこに滑っていくのかちょっとコワイ。
中日新聞 夕刊 2020.3.2 掲載