この原稿を書いているのが六日、原稿が載る日にはすでにいくつかの都市は緊急事態宣言が出た後だろう。
閉じた生活の始まり。
しかしここ数年壁とか分断とか人と人を遮断するような話が多かったけど、コロナはまるでその総仕上げみたいだな。
いやもう仕事にならずこもってる人も社会を守るために働いてる人も本当に大変だと思う。
でもいつか必ずこのパンデミック(世界的大流行)は終息し、人々は再びドアを開け、外に出てゆく。
人と人も国と国もまた手を取りあいつながりを取り戻す日が必ず来る。
でもドアを開けてそこに見る世界は今までの世界とは違うかもしれない。
今まであった職業が消え聞いたこともない職業が現れてるかもしれない。今までの価値や権威が新しいものに変わってるかもしれない。
そのためにもドアを閉じてる今こそ他の全てを開いておかないといけないと思う。
新しい技術や未来の可能性に目を開く、違う意見に心を開く、政府はお財布を開いて未来を生きてゆく人間を救わなければならない。
何より、自分が本当は何を欲しているのか? このままで良いのか?
閉じることを余儀なくされている時間は、自分自身に心を開く良いチャンスかもしれない。
そういえば一年前、どんな元号が良いか取材されて答えたのが「令和」ならぬ「全開」だった。
一年前が大昔のようだな。
中日新聞 夕刊 2020.4.13 掲載