最近は家に籠ってて、不安を紛らわすためかついゲームをすることが多い。
若いころよくロールプレイングゲーム(RPG)やったなー。三十年以上前、ドラクエに出会った時、こんなものがあるのかとビックリした。なぜこんなに面白いんだろう?
その時まず考えたのは、RPGの仕組みが現実を程よくシミュレートしていることだった。
敵を倒し経験値とお金を稼ぎ、高いお金を出すほど強い武器が手に入り、体力が減れば宿屋で回復する。
全ての現実のひな型のように思えたのだ。
だけどゲームは現実よりもさらに面白かった。何故?
その都度与えられる明確な目的。それを達成するためのコストと報酬のバランス。
世界は平等で明らかなルールに支配されていて理不尽な差別や運の偏りなどない。僧侶や戦士などの多様な個性。
そして最後に意外性と納得性のバランスがとれた結末。
ゲームには現実には望めないシアワセの要素がつまってたのだ。
だからボクはあの頃ゲームが現実を追うのではなく、現実がゲームに学べば良いと思っていた。そうすれば現実がゲームのように生きててワクワクする世界になるんじゃないか…!昔そんなことを考えてたことをピコピコしながら思い出した。
そういえば今世界を覆う災厄は、まるでゲームのオープニングのようだ。
どこかで世界を救う勇者が生まれているかもしれない。
中日新聞 夕刊 2020.4.20 掲載