自分はどうも政治が苦手で特に「右」とか「左」がよくわからない。
まぁ、雑な例えだけど自分たちが乗ってるバスが曲がりくねった山道を走ってるとする。
右に山が迫れば左に、左に崖が迫れば右にハンドルを切る。
大切なのはバスが安全に道の真ん中を走っていくことで、右か左かなんてのはその都度正解は変わる。
なのにどうして多くの人がある人間が右派か左派かばかりを気にするのかよくわからなかった。
だけど最近コロナ禍で、そんなバスの中の声が変わってきた気がする。右も左もなくみんなが揃って悲鳴を上げている。それほど大きな危機だ。
山道は細く曲がりくねりバスはスピードを上げ疾走している。ひとつ間違えば大事故だ。
感染の山を避けようとすれば経済の崖が迫る。遠くを観すぎず近くだけを見すぎず、そして社会の変化の急カーブで振り落とされる人がいないよう、運転手は大胆で慎重で素早い最上級のハンドルさばきを要求されるだろう。
正直今の運転手はイマイチ不安。だってマスク二枚だしなー。
でもきっと大丈夫。僕らのバスは多少の迷走はしても乗客皆でワーワー言いあいポンコツになりながらいつか安全なドライブに戻るだろう。
そしてその時に皆がアクセルやブレーキや、右左のハンドル以外にもいろいろ複雑な政治に関心を持ってたらいいのかもしれない。
中日新聞 夕刊 2020.5.11 掲載