新型コロナもちょっと収まってきたみたいだね。
でも油断は禁物、この病気は皆が免疫を持つかワクチンが開発されるまで安心できないらしい。
ワクチンかー、つまり弱いウイルスを体内に入れてあらかじめ免疫を作っておくということだね。
なんかそれって子育てとか教育の一部にもあてはまる気がしてきた。
仮に教育が子供を社会に出すための準備だとしたら、いずれ出会う現実の毒性を弱めて経験させておくことはワクチンっぽくないだろうか?
免疫がない子どもは社会に出た時、苦労しそうな気がする。残念ながら現実は理想の社会じゃないからね。
競争も厳しいし、理不尽なことがいっぱい。誰もがいい人ばかりってわけじゃない。
そんな荒野に送り出す前に、免疫をつけさせたい。
だけど気をつけないといけない。そのワクチンが強すぎたら子どもを虐げることになりかねない。
そして何より個人差が大きい。あるストレスが太郎君にはちょうどちょうど良くても次郎君には我慢できなかったりする。
こう考えると一律の教育を施す学校だけでは「ワクチン」は難しいかもね。
そういえば自分は子ども時代、年齢も性格もいろいろな近所の子どもたちが集う神社の境内で、自然にできあがる人間関係やその中での生き方を学んだように思う。
社会に対する免疫を獲得するには、多様な場が大切なのかもしれない。
中日新聞 夕刊 2020.5.18 掲載