昔「サビシイ」についてマンガを描いたことがある。
それは自分と言うより自分の「脳」が持つ感情ではないか?
つまり脳は人体という巨大ロボットに閉じ込められた操縦士(ガンダムのアムロやエヴァンゲリオンの碇君のような)で、一生暗闇に閉じ込められ、他者と直接触れ合うこともない。そりゃサビシイだろう、というようなマンガだった。
だから脳が頭蓋骨に閉じ込められてる限り、人は「サビシイ」ものだと勝手に納得していた。
ところが最近、コロナで余儀なくされた巨大ロボットの操縦席のようなリモート生活でも案外「サビシイ」を感じないものだと気づいた。
お気に入りの情報やコンテンツに囲まれた操縦席の生活も案外悪くない。
人との付き合いはストレスも多い。マンガのキャラクターの方が自分に力をくれることもある。
「脳」にとって現実か非現実かはあまり違わないのかもしれない。
しかし自分としては「脳」がそれでいいと言えば構わないのであるが、皆がそうなったら社会はどうなるのかちょっと心配になる。
昔読んだSFの中に脳をつなぎ合わせる人々がでてきた。一人の脳がつながって、惑星が丸ごと大きな一つの脳のようになったらどうだろう?
そうなったら個々の「サビシイ」は確かになくなるだろうな。
シアワセかどうかはまた別だけど。
日新聞 夕刊 2020.6.22 掲載